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通常時のダムの役割
ダムは、ただそこにあるわけではありません。
治水・発電・灌漑用水・上水道・工業用水用など、さまざまな目的で設置されています。
今回のように、豪雨災害などで注目されるのは「治水」です。
治水目的だけで作られたダムであれば、通常は貯水する意味はほとんどなく、
災害時にできるだけ貯水できるように枠を開けていればいいです。
ただ、ダムの目的が複数ある場合(これを多目的ダムといいます)は
あらかじめ洪水に備えて空っぽにしておくわけにもいきません。
治水面では空っぽにした方がいいですが、
発電や上水道用などに回す水がどうしても必要です。
大雨が予想されているときは、あらかじめダムの貯水量を減らして待ち受けます。
豪雨の時の役割
上流から流れてくる大量の雨水をダムのところでせき止めます。
これによって、
ダムより下流へ大量の水が流れていくのを防いでくれます。
しかしながら、ダムの貯水量には限界があります。
それ以上の水を溜め込み過ぎると、
ダムが決壊してしまう危険性が高まります。
ダムが決壊すると、下流地域に大量の水が流れるため、甚大な被害を及ぼします。
そのため、ダムが限界を迎える前に緊急放流をすることで、
これ以上貯水量が増えないように調整をします。
これが、緊急放流です。
メディアでは
「ダムの緊急放流により浸水被害があった」と報道されます。
確かに事実はそうなのかもしれません。
しかし、これはやむを得ない対処であり、それ以上の大災害を防止するものです。
また、もしダムがなかった場合は、
ダムでせき止めていたはずの水量がそのまま川に流れていたということを表します。
つまり、
ダムがなければ、もっと大きな被害が出ていたはずです。
また、
もう1つ勘違いを生む点があります。
貯水量を減らすのではなく、それ以上増えないようにしている
大雨の時の緊急放流などでは、
貯水量を減らすために放流するのではなく
貯水量が増えないように放流をします。
つまり、
これからダムに溜まっていく水量(A)と
ダムから下流へ放流する水量(B)は同じ量である(A=B)
ということです。
降っている雨の量を100とすると
放流の量も100ということです。
これがあたかも
降っている雨の量が100なのに
500も1000と言った何倍もの量の水を放流する!
と誤解されない形で伝えられることから、批判を招いています。